所在地 台東区竜泉3-19 (一葉記念公園)
ここは明治文壇の天才 樋口一葉舊居の跡なり。一葉この地に住みて『たけくらべ』を書く。明治時代の龍泉寺町の面影永く偲ぶべし。今町民一葉を慕ひて碑を建つ。一葉の霊欣びて必ずや来り留まらん。
菊池寛右の如く文を撰してここに碑を建てたるは、昭和11年(1936年)7月のことなりき。その後軍人国を誤りて太平洋戦争を起し、我国土を空襲の惨に晒す。昭和20年(1945年)3月、この邊一帯も焼野ヶ原となり、碑も共に溶く。
有志一葉のために悲しみ再び碑を建つ。愛せらるる事かくの如き、作家としての面目これに過ぎたるはなからむ。唯悲しいかな、菊池寛今は亡く、文章を次ぐに由なし。僕代って蕪辞を列ね、その後の事を記す。嗚呼。
菊池寛 撰
昭和24年(1949年)3月 小島政次郎補書
森田春鶴 刻
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